事務所日記 6月

印刷物のお話2
こんにちは!新制作協会事務局です。

4月に配信のメールマガジンVol.9では印刷物のお話をさせていただきました。

その時にはまだ第84回展のポスターは公開されていませんでしたが、先月やっと皆様へ発送をすることが出来ました!第84回展のリーフレットや応募目録、会報誌はお手元に届きましたでしょうか。

今回はVol.9で触れられなかった印刷物のお話その2です。

 

すでに開封いただいていることと思いますが、今回のポスター・リーフレットは委員長の瀬辺先生の「アジールの旗」という作品を素材としています。

第84回新制作展 英語版ポスター

英語版ポスターは美術館掲示用に数枚しか作成されていません。毎年同じ場所にあるのですが、皆様どこに掲示されているかご存じでしょうか?

 

 こちらのポスターの瀬辺先生の作品は、メールマガジンVol.1でご紹介させていただいていますので、見覚えがあるなと思ってくださった方もいらっしゃるかと思います。

 

Vol.1で、瀬辺先生からは

「新制作展は表現手段が多岐に渡ると言いましても直接目で見て触れて、感じていただく作品群です。この間私は縄文時代から今日までと今日からは明日は隔絶するのではないかと考えるほどです。微妙な心の動き。言葉と言葉の間に生まれる何か、自分の感じたものを表出する技を鍛える。そんなものがすっ飛ばされていくのではないかと危惧しています。皆様はどのようにお考えでしょうか。人は思考回路のできる段階で獲得した感覚からは抜け出せないものです。いろいろ考えてもその獲得した感覚でしか作品はできません。少し前の作品ですがこれは来年84回新制作展のポスター(部分)の全体像です。『アジールの旗』という題名です。アジールとは公の権力の及ばない場所(駆け込み寺とか教会とか)を指します。あっ!あそこに旗が見える、あそこまで行けば自由になれるという目印のつもりです」

というメッセージをいただいていました。

 

昨年から、本当に熱いイベントや心が震えるような言葉を先生方からたくさんいただいていますが、瀬辺先生のメッセージを拝見した時にも心の奥の方をぐっと掴まれたような気持になり、そうだ、私たちは絶対に何もかもすっ飛ばしてはならない、と思いました。

そして、完成したリーフレットやポスターはまさに “ あそこまで行けば自由になれる目印 ” であり、私達は今からそれをみなさまへ送るんだと、まるで戦いの狼煙を上げるかのような気持でせっせと封入準備をしました。ただの事務作業なのですが、とても大切な時間だったように思えます。

 

また、毎年この時期にご一緒にお届けしている会報誌は、長年、定期的に新制作協会の活動を皆様へお伝えする唯一のツールになっています。今回は過去の号から少し振り返ってみました!

 

2010年12月のVol.60まではモノクロで印刷されていて、会報No.60と明記されています。

表紙は第74回展の各部の審査風景です。見覚えのあるお顔も10年前のちょっぴりお若いお顔です。

 

 

さらに遡ってVol.54では、国立新美術館に移動して初めての展示の年です(第71回展)。先生方が新しい美術館での展示について感じたこと、それまでの準備についてなど執筆されています。この時にはまだ事務局で働いていなかったので過去の会報を読み出すと “ あの時はこんなだったんだ ” と、止まらなくなってしまいます。

 

 

そして、2011年の夏号Vol.61からカラーになりました!この号から絵画部会員の作品が表紙に使用されています。名称も広報誌となりました。

記念すべきカラー版の初回は2011年度第75回記念展委員長の渡辺恂三先生の作品です。

渡辺恂三先生の巻頭言やその他の記事から第75回展への熱い思いが、まるで今がまさにその時かのように伝わってきます。そしてこの年は2011年です。「日本はゼッタイ沈没なんかしません」という渡辺恂三先生の言葉が、10年の時を経て今なお私達を勇気づけてくれます。

 

Vol.62(2011年12月号)では第75回記念展の各部の会場風景やシンポジウムの様子が表紙になり、その後、毎年夏号は絵画部会員の作品が表紙に、冬は作品のクローズアップをいくつか組み合わせたものというルーティンが続いていました。

 

Vol.63 2012年 表紙作品:佐野ぬい

 

 

Vol.65 2013年 表紙作品:佐藤泰生

 

 

Vol.67 2014年 表紙作品:金森宰司

 

 

作品が表紙の号だけを並べてみました。

美しい表紙が並んでいるだけでわくわくします ♪

 

作品のクローズアップを集めた冬号を並べてみました!

1つ1つを見てどなたの作品か当てたくなります。

皆様、すぐおわかりになるでしょうか。

ご自身の作品は見つかりましたか?

 

Vol.73 2017年 表紙作品:木嶋正吾

この号から表紙の先生の言葉が背表紙に掲載されるようになりました。表紙の作品と先生の言葉をセットで楽しみにするようになりました。

 

Vol.77 2020年 表紙作品:糸田玲子

表紙の糸田先生の作品は会員推挙された年の力強い作品です。第84回展の絵画部の公募ポスターの素材としても使用されていました。糸田先生は残念ながら昨年ご逝去されてしまいましたが、印刷物の向こう側からでも先生の力強いエネルギーに圧倒されます。

 

そして、今回Vol.78の表紙は岡崎先生です。前回のメールマガジン “ 賞牌!!” の回でも岡崎先生の作品をご紹介させていただきました。

岡崎先生は表紙の言葉で、「藤島武二と新制作初期会員たち」展(神戸市立小磯記念美術館・川越市立美術館)について触れていらっしゃいます。こちらは第75回記念展の絵画部企画の1つで、ちょうど渡辺恂三先生の作品が表紙のVol.61で展覧会の開催が決定されたことが記載されていました。その後、Vol.62、Vol.63まで展覧会の記事が掲載されていて、新制作協会にとって、とても大切な展覧会だったことが伝わってきます。

 

 そして2018年12月のVol.76の後、2019年に「新制作手帖」が登場します。この年は色々な準備の為、いつもの広報誌は発行されず「新制作手帖」のみが発行され会場で配布されました。こちらは会場での配布用でHPにもバックナンバーを掲載していないという、ちょっぴりレアな冊子になっているのですが、ご来館いただけなかった皆様へ「新制作手帖 Vol.1」を公開です ♪ 

 

2019年 新制作手帖 Vol.1 表紙作品:藤原郁三

 

「新制作手帖」創刊号は第83回展委員長の藤原先生の作品です。第83回展のポスターを少しアレンジしています。

 

初めて展覧会をご覧になる来場者の皆様へ向けての内容や各部ごとのイベントを紹介するページもあります。

 

 

「新制作手帖」は広報誌を作成する委員会の先生方とSHIMA ART&DESIGN STUDIOさんにご協力をいただき制作されています。

 

「新制作手帖」誕生のいきさつをうかがったところ、今まで年2回発行していた広報誌は、名称は広報誌となっていましたが、内容は内側に向けた情報と外側に発信したい情報の両面を一度に掲載してきました。そこを一新し、これまでの夏号を会員・出品者対象の会報の役割を持つものとして、「新制作手帖」を来場者また外部を対象にした広報の役割を持つものとして2段構えで発行することになったということです。

 

初めて委員の先生から、「会場で配布する冊子は新制作手帖という名前になったよ」とうかがった時は、実はあまりピンときていなかったのですが、表紙の原稿を拝見した時にほんのりレトロ感のあるタイトルと表紙の雰囲気がぴったりで、なるほど~!と思ってしまいました。

 

そうして、5月に会報誌を発行し、9月に会場で「新制作手帖」を配布するという新ルーティーンが生まれました。

 

残念ながら2020年度は展覧会が延期になり「新制作手帖Vol.2」は発行されなかったので、やっと実質的には初めて会報誌と「新制作手帖」が通年で発行されることになります。今年は瀬辺先生の「アジールの旗」がどのような表紙になるのかもお楽しみです ♪

 

今年は会場でぜひ「新制作手帖」もゲットしてくださいね!

 

皆様、いかがでしたでしょうか。全てお持ちでいらっしゃる方もそうでない方も、もし内容をお忘れになっていたりお持ちでない号がありましたら、今回リンクをはった広報誌だけではなく、Vol.44以降の会報誌が新制作協会HPでご覧いただけます。

ご興味のある方は、制作の合間の気分転換やちょっとしたひとときに、ぜひお読みになってみてください ♪

思いがけないご縁や出会い、いつかの忘れものが見つかるかもしれません。

 

それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

これからは感染症と熱中症の両方の対策が必要になってまいりますので、どうぞお気をつけてお過ごしくださいませ。

展覧会まであと3か月を切りました!!

 

事務局 峠・桑久保