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第84回展委員長副委員長よりメッセージ


アジールの旗 2008年

委員長

彫刻部 瀬辺佳子

 

 

 この度は新型コロナの影響で84回展を開くことができなくなり会員一同本当に残念でなりませんが、そのおかげと言ってはなんですがIT関係に疎い新制作もこのメールマガジンや、リモート会議などをやるようになりました。改めましてどうぞよろしくお願いいたします。

 

 新制作展は表現手段が多岐に渡ると言いましても直接目で見て触れて、感じていただく作品群です。この間私は縄文時代から今日までと今日からは明日は隔絶するのではないかと考えるほどです。微妙な心の動き。言葉と言葉の間に生まれる何か、自分の感じたものを表出する技を鍛える。そんなものがすっ飛ばされていくのではないかと危惧しています。皆様はどのようにお考えでしょうか。

 

人は思考回路のできる段階で獲得した感覚からは抜け出せないものです。いろいろ考えてもその獲得した感覚でしか作品はできません。

 

 少し前の作品ですがこれは来年84回新制作展のポスター(部分)の全体像です。 


『アジールの旗』という題名です。アジールとは公の権力の及ばない場所(駆け込み寺とか教会とか)を指します。あっ!あそこに旗が見える、あそこまで行けば自由になれるという目印のつもりです。

 また、これも少し前の作品ですが私は歌舞伎が大好きで荒唐無稽な筋立てを生まれた時から鍛え上げた芸で見せるなんともミスマッチなところが震えます。中でも勘三郎が大好きでした。彼が死んだ日、怒りにまかせて書いたのがこのデッサンです。「急ぎすぎた男」という題です。本当に惜しい役者を演劇界はなくしました。


ライフ「男」 2017年

副委員長

絵画部 金森宰司

 

 

  「新制作展延期」を会員一人ずつに連絡されていく。その過程で意見も出される。その中で「一般出品者のコンクールを」の意見が数名から出されてきた。せっかくの制作意欲が延期が決まって発表の場を失ってしまう。その作品を公募してWEB上に展示する。絵画部WEB展覧会の企画はこの対策として生まれた。

 

 出品料無料でも絵画部の予算の中では実施可能、運営委員と企画委員の打ち合わせが始まった。

 


 メールで作品写真を送ってもらい、新制作のHPを使って並べ、メールで投票、上位10名程に賞、ZOOMを使って、出品者と会員の交流ギャラリートークなど、期間は9月16日から12月31日までとして絵画部の方針が決まった。

 私はアイデアとしてバーチャル展示会場を提案させていただいた。趣味で過去の新制作展をパノラマ撮影したものを利用して展示会場作り、メールで送られてきた作品写真を会場に並べる。新制作のHPからのリンクで移動して臨場感のある会場で作品の鑑賞。美術館側では国立新美術館が実施していると誤解されない工夫を条件にOKを出していただいた。部屋から部屋への移動は、美術館内を歩いて移動するかのように工夫する。これを使ってギャラリートークも可能だ。

 

どのくらいの方が応募されるか、楽しみになってきた。


Floral Sundial  2017年

 副委員長

スペースデザイン部 尾埜行男

 

 

 ここ30年ほど日時計を作っている。秋の展覧会には、自分としては毎回異なった形式のものを提案できるように計画しているが、制作にあたって自分の力量・技術・体力・時間などとの読みが難しい。最近は作品の写真が図録掲載に間に合わない。言い訳・・。

 

 SD部の展示場所はA1の室内と彫刻部を通った奥の野外にある。当然、日時計は野外展示で皆さんに見ていただく事を目指す。ただ壁掛け形式の日時計を計画した場合は室内展示となる。


 写真(第81回展出品作品)の時は室内展示で、植物学者のリンネが提案した花時計(花の開花や閉じる時刻を利用して時計とする)を参考にして計画した。東京という場所と季節を考慮して花を選び、その開花や閉花の時刻を日時計の影が示す時刻の位置に合わせてその花を描くデザインにした。 

   

 “時”という見えない流れを空間に落し込み、時刻を位置として示す日時計、これからも新たなテーマを探しながら提案したい。